「正社員になるには、何から始めればいいのだろう」と迷っていませんか。アルバイトや派遣、契約社員として働いていると、どの方法が自分に合うのかわかりにくいものです。
結論からいうと、正社員になるには4つのルートがあります。他社の正社員に応募する、今の職場の正社員登用を使う、紹介予定派遣を使う、無期転換を申し込む、の4つです。
この記事では、それぞれの違いと、アルバイト・契約社員・派遣社員など今の働き方別に近いルート、未経験から選考を通るための準備をまとめました。
- 正社員になるルートは「他社の正社員に応募」「正社員登用」「紹介予定派遣」「無期転換」の4つ
- 登用制度がある事業所は75%。ただし制度があっても、正社員以外の人から応募がなく登用実績がない事業所も多い
- 無期転換は契約期間がなくなる仕組みで、正社員になるとは限らない
- 公的調査では、正社員を目指したフリーター経験者の66.6%が正社員になれている
- 未経験なら、求人票の「雇用形態」「未経験歓迎・研修」「年齢の上限」を確かめる
正社員になるには?まず知っておきたい実態
「自分には無理かもしれない」と思う前に、公的なデータで実態を確かめておきましょう。
正社員を目指した人の約3分の2はなれている
労働政策研究・研修機構(JILPT)が東京都の25〜34歳を対象に行った2021年の調査では、正社員になろうとしたフリーター経験者のうち、66.6%が正社員になれています(出典:労働政策研究・研修機構「大都市の若者の就業行動と意識の変容―『第5回 若者のワークスタイル調査』から―」。図表4-28)。
同じ調査では、正社員になろうとした人が取った行動として、アルバイト先の正社員登用への応募、他の会社の正社員への応募、ハローワークなどへの相談などが挙がっています。1つの方法で決まらなければ、いくつかを組み合わせて動くのも手です。
登用制度がある職場は多い。でも「応募がない」ことも多い
厚生労働省の調査では、正社員以外の人を正社員にする「登用制度」がある事業所は75%でした。過去1年間に実際に登用した実績がある事業所は44%です(出典:厚生労働省「労働経済動向調査(令和4年2月)の概況」)。
制度があるのに実績がない理由としていちばん多かったのは、「正社員以外の労働者から応募がなかった」(40%)でした。制度は、知っていて手を挙げる人にしか使われていないのです。
正社員と非正規の給料の差は、年齢とともに広がる
フルタイムで働く人の月の基本給(残業代などを除いた給料)を比べると、差は年齢とともに開きます。
| 年齢 | 正社員・正職員 | 正社員・正職員以外 | 差 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 24.8万円 | 20.4万円 | 約4.4万円 |
| 25〜29歳 | 28.5万円 | 22.8万円 | 約5.7万円 |
| 30〜34歳 | 32.1万円 | 23.4万円 | 約8.7万円 |
| 35〜39歳 | 35.3万円 | 23.0万円 | 約12.2万円 |
(出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」雇用形態別にみた賃金。千円単位の数字を万円に直して四捨五入)
正社員以外の給料は、30代になってもほとんど上がっていません。正社員を目指すなら、早めに動くほど差が開く前に切り替えられます。
正社員になるには4つのルートがある
まずは4つのルートを並べて比べてみましょう。
| ルート | 向いている人 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 他社の正社員に応募する | 仕事や業界を変えたい人、多くの求人から選びたい人 | 書類と面接の準備が要る |
| 今の職場の正社員登用を使う | 今の職場で長く働きたい人 | 制度があっても登用された人がいるとは限らない |
| 紹介予定派遣を使う | 働いてみてから決めたい人 | 派遣期間のあとに雇われないこともある。直接雇用の形も正社員とは限らない |
| 無期転換を申し込む | 同じ会社で有期契約を5年を超えて続けている人 | 契約期間がなくなる仕組みで、正社員になるとは限らない |
他社の正社員に応募する
いちばん選択肢が多いルートです。求人サイトやハローワーク、就職エージェントなどで正社員の求人を探して応募します。
仕事内容や働き方を一から選び直せるのが強みです。その分、履歴書・職務経歴書と面接の準備が必要になります。
今の職場の正社員登用を使う
アルバイト・パートや契約社員から、同じ会社の正社員になる方法です。慣れた職場で、人間関係も変わらずに正社員を目指せます。
パートタイム・有期雇用労働法では、会社はパートや有期契約の人が正社員などに転換できるよう、次のいずれかの措置をとることが義務づけられています(出典:厚生労働省「マイジョブ・カード」パートやアルバイトから正社員を目指す際の選択肢と、今できること)。
- 正社員などを募集するとき、今働いているパートやアルバイトにも知らせる
- 社内で正社員を募集するとき、応募の機会を与える
- 正社員へ転換するための試験制度を設ける
前の章のとおり、登用制度があっても「応募がない」職場は少なくありません。上司や人事に、次の点を聞くところから始めましょう。
- これまでに登用された人はいるか
- 登用の条件(勤務年数、試験、面接など)
- 登用されたあとの給料や働き方
紹介予定派遣を使う
紹介予定派遣は、派遣先で直接雇われることを前提に派遣で働く仕組みです。同じ人を派遣できる期間は6か月までと決められています(出典:厚生労働省「紹介予定派遣について教えてください。」)。
働きながら職場との相性を確かめられるのがよいところです。一方、派遣期間のあとに雇われないこともあります。直接雇用の形が正社員なのか契約社員なのかも、始める前に確認しておきましょう。
無期転換を申し込む
同じ会社との有期の労働契約が更新されて通算5年を超えると、働く人が申し込むことで、期間の定めのない契約に変わります。会社はこの申し込みを断れません(出典:厚生労働省「有期契約労働者の無期転換サイト」)。
契約が切れる心配はなくなりますが、無期になることと正社員になることは同じではありません。給料や仕事内容などの条件がどうなるかは、会社に確認してください。
今の働き方別:正社員になるにはどのルートが近い?
同じ「正社員になるには」でも、今の働き方によって近道は変わります。
| 今の働き方 | 近いルート | 最初にやること |
|---|---|---|
| アルバイト・パート | 正社員登用、他社の正社員に応募 | 今の職場に登用の実績があるか聞く |
| 契約社員 | 正社員登用、無期転換、他社の正社員に応募 | 契約の通算年数と、登用試験の有無を確かめる |
| 派遣社員 | 紹介予定派遣、他社の正社員に応募 | 派遣会社に紹介予定派遣の求人があるか聞く |
| 職歴がない・未経験 | 他社の正社員に応募 | 「未経験歓迎」「研修あり」の求人を探す |
アルバイト・パートから正社員になるには
今の職場で長く働きたいなら、まず登用を考えます。登用の条件は会社ごとに違うので、何年働けば対象になるのか、試験や面接があるのかを先に聞いておきましょう。
一方、今の職場に登用の実績がない、または仕事を変えたい場合は、他社の正社員に応募するほうが早く決まることもあります。アルバイト経験は、職務経歴書に書ける立派な職歴です。
フリーターの就活の流れは「フリーターの就活の進め方|正社員になるまでの5ステップ」でまとめています。
契約社員から正社員になるには
契約社員は、登用と無期転換の両方が使える可能性があります。ただし、無期転換は正社員になるとは限りません。正社員を目指すなら、登用試験の有無と条件を確かめましょう。
今の会社で正社員への道が見えないなら、他社の正社員に応募するルートも並べて考えます。契約社員として続けてきた経験は、そのまま選考で話せる材料になります。
派遣社員から正社員になるには
派遣社員なら、紹介予定派遣がいちばん近いルートです。今の派遣会社に、紹介予定派遣の求人があるか聞いてみましょう。
もう一つの選択肢が、派遣会社の正社員になって派遣先で働く形です。派遣会社と期間の定めのない契約を結ぶため、派遣先との契約が終わっても雇用が続きます。
未経験・職歴なしから正社員になるには
正社員の職歴がない人は、他社の正社員に応募するルートが中心になります。「未経験歓迎」「研修あり」の求人を軸に探しましょう。
求人で年齢を制限することは原則として禁止されています。ただし、職業経験を問わず新卒と同じように育てる場合に限り、若い人(基本的に35歳未満を想定)を対象にした募集ができます(出典:ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」)。「35歳未満・職務経験不問」という求人は、経験のない人を育てる前提の募集です。
年齢との関係は「未経験転職は何歳まで?」で解説しています。学校を出てまもない既卒の方は「既卒フリーターから正社員になるには?」も参考にしてください。
未経験から正社員の求人を選ぶポイント
他社の正社員に応募するなら、求人選びが結果を左右します。
求人票で確かめる3つのポイント
| 見るところ | 確かめること |
|---|---|
| 雇用形態 | 「正社員」か、「契約社員」「アルバイト」か。試用期間(入社後のお試し期間)の長さと、その間の条件 |
| 未経験歓迎・研修 | 「未経験歓迎」「研修あり」「OJT(先輩について仕事を覚える教育)」の記載があるか |
| 年齢・資格 | 「35歳未満」などの上限があるか。応募に必要な資格や免許があるか |
このほか、勤務地、休日、残業、夜勤の有無も見ておきましょう。譲れない条件は2〜3個に絞るほうが選びやすくなります。求人の探し方は「就職の探し方7つ」で比べています。
「正社員」には2つの働き方がある
正社員になりやすい仕事
未経験から正社員を目指すなら、「未経験歓迎」「研修がある」「人手が足りない業界」の3つがそろった仕事が狙いやすいです。
バンキャリで紹介している求職者の約9割が、フリーター・既卒・高卒・20代の方です。紹介が多いのは製造職・機械系エンジニア・半導体エンジニア・施工管理職・事務職で、どの職種も紹介実績の約9割が未経験からの入社です。技術職では研修やOJTがあり、手順に沿った作業から段階的に覚えていきます。
| 職種 | 仕事のイメージ | 初年度年収の目安(未経験) |
|---|---|---|
| 製造職 | 手順書どおりに部品や製品をつくる | 約300〜500万円 |
| 機械系エンジニア | 装置を組み立てたり、直したりする | 約300〜500万円 |
| 半導体エンジニア | 工場の装置を動かし、点検する | 約300〜500万円 |
| 施工管理職 | 工事現場の段取りや安全を管理する | 約300〜500万円 |
| 事務職 | パソコンでの入力や書類の管理 | 約300〜400万円 |
年収の目安は、バンキャリの紹介実績から出した入社1年目の数字です。勤務地や夜勤の有無、会社によって上下します。
事務職は人気が高く、未経験だと直接雇用の正社員求人は倍率が高くなりがちです。バンキャリで紹介している事務職は、無期雇用派遣(派遣会社と期間の定めのない契約を結び、派遣先の企業で働く形)が中心です。派遣先との契約が終わっても雇用は続き、入社時にはExcel・Wordの基本操作の研修があります。
正社員になるには選考の準備が大事
他社への応募でも、登用試験でも、選考では「長く働いてくれそうか」「職場になじめそうか」が見られます。バンキャリの紹介実績から、落ちやすいポイントをお伝えします。
書類:年齢と職歴のバランス
バンキャリの紹介では、書類で落ちることは多くありません。たまに落ちるのは「年齢の割に職歴の数が多い」「短期間での退職が多い」ケースです。
アルバイトや派遣、契約社員の経験も、職務経歴書(これまでの仕事の中身をまとめる書類)に書ける職歴です。続けた期間、任された役割、工夫したことを1行ずつ書き出しましょう。仕事を何度か変えてきた人は、理由を短く添え、次は長く働きたいことを伝えます。
面接:第一印象と受け答え
面接で落ちやすいのは、「第一印象が暗い」「受け答え(コミュニケーション)が噛み合わない」ケースです。バンキャリの面接対策では、想定される質問と答え方を事前に準備する機会があります。
| よく聞かれること | 答え方のコツ |
|---|---|
| なぜ正社員になりたいのか | 「安定したい」だけで終わらせず、身につけたい力や長く働きたい理由につなげる |
| なぜこの仕事なのか | 求人票や会社の情報から、興味を持った点を1つ挙げる |
| これまでの経験で生かせることは | 手順を守る、人に教える、体力など、具体的な場面を1つ話す |
| 長く働けますか | 勤務地や休日などの条件が生活に合っていることを伝える |
答え方の例は「未経験転職の面接対策|よくある質問と回答例」、志望動機は「未経験転職の志望動機の書き方」も参考にしてください。決まらないときの原因の切り分けは「フリーターが正社員になれない原因は?」で解説しています。
ひとりで進めにくいときは窓口を使う
| 窓口 | 対象 |
|---|---|
| わかものハローワーク | 正社員を目指す、おおむね35歳未満の人 |
| 新卒応援ハローワーク | 学生や、卒業後おおむね3年以内の人 |
| 地域若者サポートステーション(サポステ) | 働くことに悩みがある人 |
(出典:厚生労働省「若者への就職支援」)
正社員になるにはに関するよくある質問
正社員になるには何年かかりますか?
ルートによって違います。他社の正社員に応募する場合や紹介予定派遣は、年単位で待つ必要はありません。紹介予定派遣の派遣期間は6か月までです。無期転換は通算5年を超えてからですが、正社員になるとは限りません。登用の条件(勤務年数など)は会社ごとに違うので、今の職場で確かめてください。
バイト先に「正社員になりたい」と伝えてもいいですか?
伝えてかまいません。厚生労働省の調査では、登用制度があっても正社員以外の人から応募がなく、実績がない事業所が多いことがわかっています。まずは登用の条件と、これまでに登用された人がいるかを聞いてみましょう。
「正社員未経験」とはどういう意味ですか?
求人では、正社員として働いた経験がない人を指して使われることが多い言葉です。アルバイトや派遣、契約社員の経験しかない人も含まれます。「業界未経験」「職種未経験」とは意味が違うので、求人票の書き方をよく確かめましょう。
資格がないと正社員になれませんか?
応募したい求人で資格が条件になっていなければ、資格がなくても応募できます。資格の勉強に時間をかけて応募が遅れるより、先に就活を始めるほうが選べる求人は多くなります。
まとめ:正社員になるには、今の働き方に合うルートを選ぶ
正社員になるにはのポイントをおさらいします。
- ルートは「他社の正社員に応募」「正社員登用」「紹介予定派遣」「無期転換」の4つ
- 登用制度がある事業所は75%。ただし「応募がない」ため実績がない職場も多いので、自分から聞いてみる
- 無期転換は契約期間がなくなる仕組みで、正社員になるとは限らない
- アルバイトは登用か他社応募、契約社員は登用・無期転換・他社応募、派遣社員は紹介予定派遣が近い
- 未経験なら「未経験歓迎・研修あり」の求人を軸に、書類と面接の準備をする
バンキャリでは、内定までではなく入社後まで伴走することを大切にしています。入社6か月時点の定着率は97%です(2026年度、バンキャリ調べ)。
どのルートが自分に合うのか迷ったら、まずは今の働き方と希望を整理するところから始めてみてください。
正社員になるには?ひとりで悩まずに相談してください
バンキャリでは、フリーター・既卒・未経験の方の正社員転職を無料でサポートしています。どのルートで正社員を目指すかの整理から、職種選び、書類作成、面接対策まで一緒に進めます。入社後まで伴走するので、アルバイトや派遣、契約社員の経験しかない方もお気軽にご相談ください。


